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2014/02/23

スピードマスター箱と加水分解

Gショックは加水分解して、数年でボロボロになることで、有名だ。

しかし、加水分解が機械式腕時計とは無縁、というのは早計である。




上写真はスピードマスターの箱だ。
これにも使われている合成皮革は、加水分解する。

合成皮革に使用しているポリウレタン(ウレタン樹脂)が劣化するのだ。

数年で、ボロボロ、ベタベタになるのは、そのせいだ。


光と水分(湿気や水蒸気含む)、熱、紫外線は、加水分解を促進する。

しかも、樹脂が発生するガスが分解をさらに促進するから、通気性の悪い所にも置けない。

どんなに気を付けても、耐久期間が多少延びるだけだ。
残念ながら、消耗品である。

ちなみに、合成皮革やポリウレタン樹脂は、作られた瞬間から、劣化し始める。
食品ほどではないにしろ、近いものがあろう。

製造から一年たってから客の手にわたった物なら、一年分耐久期間は短くなっている。

もしも、中古でオメガ・スピードマスターを入手するのなら、箱なしもやむなし、と言わざるをえない。
2014/02/22

長持ちするということ ~ EDIFICE EQW-A1200RB

先日、カシオのEDIFICE EQW-A1200RB
(F1のレッドブルレーシングとの限定コラボモデル。ソーラー電波クロノグラフ)が不調になった。




しかも、よりによって、腕時計をし忘れてきた上司に、予備の腕時計を貸した直後にだ!
タイミングが神がかっていた。

急に、長身がぐるぐると回ったかと思うと、時刻の表示がずれ、短針が動かなくなったのだ。
内蔵コンピュータにバグが起きたのか、強い衝撃か磁石の影響か、はたまた変な電波を受信したのかは未だに不明である。

買って半年未満である。
気兼ねなく使えるので、
天候が悪かったり、雪かきしたり、泥酔しそうなときなどに主に使っていたが……


ともかく、このままでは使い物にならない。

本来なら、三針がともに12時位置に移動するストップウォッチモードや、別の場所の時刻を表示するワールドタイムに変更しても、やはり短針のみは止まったままだった。

仕方ないので、セイコーファイブを持ち出すことになった。

結局、帰宅後、マニュアルを調べて、時針の自動補正機能を使ったら、もとに戻った。

だが、F1好きだし、おもちゃとしては、気に入っているので、保証期間内に修理に出すべきか、悩むところだ。



それはともかく、長持ちということについて、考えさせられる。

機械式腕時計は、壊れやすいし、メンテナンス費用はかかるが、故障の原因と結果はわかりやすい。

クォーツ時計は、電子機器を組み込んだ腕時計なので、機械式腕時計に準ずるところも多い。
電池交換だけでメンテナンスフリーというのは、楽観的すぎる幻想だ。

ソーラー電波腕時計、それも、カシオのエディフィスや最新のGショック等に至っては、時計というよりも、

(デジタル)コンピュータが腕時計に擬態しているかのようだ。

故障の原因は、メーカーにしかわからない部分も多いだろう。
ブランド性や品質以前に、
子供に引き継がせる腕時計には、物理的に無理だ。



ファイル03
EDIFICE EQW-A1200RB
Ωスピードマスター指数 なし
(理由 特筆すべき共通点はない)

画像クリックで、拡大



2014/02/16

雪かきと腕時計

このところ、雪かきをする機会が多い。

東京が雪に弱いという話はもはや聞きあきたが、
雪に弱いのはなにも都市だけではない。

腕時計をしながら、雪かきするというのは、なかなか厳しいものがある。

Gショックをのぞけば。

激しく動く上に、
水分にさらされ、
外気は寒いが、腕はだんだん熱くなる。

雪かきの器具と接触する危険もある。
やはり、Gショックの独壇場の様相をていする。

しかし、会社で雪かきする場合にはスーツを着たままであり、Gショックは不適合だ。
メタルバンドのアナログウォッチが望ましい。

疲れと雪目から、視認性の高さは特に求められる。

軽いほうがいい。
もちろん、デザインは捨てられない。



と、結論は……続く。
2014/02/11

オリンピックの計時と時計メーカー

冬季オリンピック、ソチ大会の中継を見ていると、計時やポイントの結果発表のとき、赤地に白く『Ω OMEGA』のロゴが表示される。

もちろん、スピードマスターなどの機械式腕時計で計時しているわけではない。
オメガとロンジンが設立したスイスタイミングが実際には電子計時しているらしい。

さて、ご存知の方も多いだろうが、
2020年の夏季オリンピック東京大会の公式計時もオメガが担当する。

日本がほこるセイコーやシチズンやカシオや、はたまたソニーやパナソニック……は何をしていたのかというと、


指をくわえて見ていた。


そもそも、2020年までのオリンピック公式計時の契約は、
2009年の段階に交わされていた。
招致成功時には決まっていたのだ。


10年以上先のことに賭けるわけにはいかなかった、と肩をもちたい気持ちはある。

しかし、東京がオリンピック招致活動をはじめたのは、
オメガが契約延長する3年も前、2006年のことだ。
(当時は2016年大会を目指していた)

大変残念なことに、国内のメーカー各社は、自国でオリンピックが開催できないほうに賭けていたに違いない。

そして、まんまと賭けに負けた。


オリンピック招致成功が、これほどまで日本に大きな勇気と希望をくれるとわかっていたら、
結果は違ったかもしれない。
2014/02/05

腕時計を遺すということ

将来、愛用の腕時計を息子に形見分けしたい

と思っても、実はかなりハードルが高い。


つまり、
息子が自分より先に死なず、遺すべき腕時計が残存していて、息子が受けとることを承諾する必要がある。
なおかつ、単に受けとるだけでなく、大切に使ってくれないと遺志は果たせない。



しかし、腕時計の歴史は案外浅いので、数十年後にどうなっているかは未知数だ。

ただ、中途半端にハイテクな2014年現在のスマートウォッチなどより、枯れた技術の多い機械式腕時計のほうが残りやすい気がする。玉の多い機種のほうが修理のパーツにも事欠きにくいはずだ。

また、Gショックのように経年劣化の激しいものは、そもそも分解してしまい遺せない。

技術の進歩からいって、ずっと簡単にメンテナンスできるようになるかもしれない。

だが、3Dプリンター技術の過激な進歩は、
実物に対する考え方を根底からくつがえすかも、と思われてならない。

いつでもどこでも簡単に安価になんでも出力できるのなら、物をわざわざ所有する意味は薄れるのではないか?と。

そんなとき、僕の愛用していた腕時計を、
受け継いでもらえるかどうかは、

結局のところ、僕と息子との関係性に委ねられているのだろう。

要するに、物より人だと思うのだ。
2014/02/05

「偶然だぞ」 セイコー・スピードマスターについての考察

「腕時計のスピードマスター」と言えば、「オメガ・スピードマスター」のことと相場はきまっている。

「RX-78」が「RX-78ガンダム」のことであるくらい自明であるはずだ。


だがしかし、この2014年現在、スイスのオメガ以外に「スピードマスター」という名前の腕時計(それも同じクロノグラフ)を作っている会社がある。
それも30年以上という長期にわたって。

ちなみに、「オメガ・スピードマスター」は1957年から製造されているが、
一方の「別会社のスピードマスター」は1983年から製造されている。

そういう、あまり誉められないことをする会社があるのは、
恥ずかしながら(そして、読者諸賢のご推察のとおり)、

我らがアジアだ。


ただし、その会社は中国でも朝鮮半島でも東南アジア諸国でもない、日本にある。


メイドインジャパン神話が蔓延している現在、不思議でならないかもしれないが、まぎれもない事実だ。
(メイドインジャパン神話への反論は後述する)


つまり、今回はセイコー社と「セイコー・スピードマスター」について語りたい。


ちなみに、セイコーは、同じ製品を海外で販売する際には「スピードマスター」とは名乗っていないらしい。
そこに、こもっているのは、筆者の父のように無知な日本人向けの戦略という証左に思えてしまう。



さて、今回、疑問をなるべく早く正確に、解決するために、次の行動をとった。

セイコーのお客様相談室に電話をした。


単なるクレーマーや言いがかりと思われないように、個別の製品に関する質問という形をとった。


質問を抜粋するとこうなる。



筆者:「セイコー・プロスペックス・スピードマスターが、オメガのスピードマスターと同じスピードマスターという名前なのはなぜですか」



セイコー:「偶然重なりました」




偶然。



余談だが、「偶然だぞ」というフレーズが脳裏をよぎった。



ともかく、即答で「偶然」と答えられたので、そういう返答マニュアルでもあるのだろうかと訝しむ。




同業の、それも追いつけ追い越せとライバル視していたメーカーの主力製品の一つと、名前が「偶然」重なるものらしい。
例えば、オメガがオリンピックの公式計時を17大会連続担当し、その記録を1964年東京オリンピックで途絶えさせたのがセイコーだったこともある。


セイコーお客様相談室の説を鵜呑みにするなら、
セイコーの開発担当者は、他社の製品には全く興味がないのだろうか。



なお、セイコー・スピードマスターは、それ以前に発売していたセイコー・スピードタイマーというクロノグラフの発展型だ。
時期的に、セイコーがオメガ社を買収をしようとして頓挫したことと何か関係があるのかもしれない。


下世話な筆者は、裏で、なんらかの約束が交わされていたのではないかと、推測してしまう。


この問題については、引き続き考えていきたい。


今度は、オメガに聞いてみるべきだろうか。





以下、余談。

筆者は日本製・メイドインジャパンに、ブランド意識をほとんど感じていない。

たしかに、日本製の製品には優秀な物は多い。
だが、それは家庭用小型自動車や家電の一部なのではないだろうか。


例えば、筆者の愛好する自動車レースの最高峰F1では、日本車はほとんど勝てない。
イタリアやイギリスだけでなく、フランスやオーストリアの車にも大差を付けられている。
残念ながら、勝率を計算したら1%程度だろう。


宇宙開発でも、はやぶさの快挙は話題になったが、
有人飛行や大規模なロケットや人工衛星ではこれまた大きく劣る。

繊維や食品加工の現場では、日本の工場でありながらアジア系外国人だらけではないか。
メイドバイチャイニーズと語っておられる方もいる。


また、国内の農業にしても同じだ。

ごく一部は高い評価を得ていても、全体的にはコストパフォーマンスに劣るだけでなく、品質でも大差ない。
有機農法・低農薬栽培された物以外は、例外なく農薬漬けで、
味よりも形が流通規格に合う事の方が大切にされている。

そもそも、二十年くらい前、いかに日本の野菜が農薬漬けか聞かされていたものだ。
その後、中国の「毒野菜」が話題になったが、程度の差こそあれ、日本の庶民が食べるレベルの国産野菜が本当に安全になったのだろうか。

また、日本製の多くの製品は、高価格でも高品質だから売れたのではなく、低価格中品質だから売れたとも言われている。
そこにブランド価値はない。あくまでもコストパフォーマンスの問題なのである。


自分たちの身に振り返ってみても、同じことだ。
本当に外国人より良い仕事をしていると、胸を張れるのか?

もしかしたら、無能な筆者だけかもしれないが、
世界中の同業者の中で、筆者よりまともな仕事をしている人間は何万人もいるだろうと思っている。

発展途上国より給与が高いのは、日本が自動車や電化製品の輸出で、外貨を沢山獲得して、豊かな国になった恩恵で、給与所得がつり上げられた結果だと思っている。


主要国との高等教育のレベル差を考えても、メイドインジャパンは大したこと無いと思うのは、妥当なラインだと思う。
また、高校か大学を出ていることが英語を使いこなせることと同義の国なんて掃いて捨てるほどあるではないか。
2014/02/01

デザインウォッチ

カメラ系量販店の時計売り場にて。


よくよく、売り場を見ていると、

見た目だけ高級品に似せた自称ブランド腕時計のコーナーは、

「デザインウォッチ」と表記されていた。

この店では、本当のブランド品と近くに陳列しながら、厳然として区別されていたのだ。

おもしろいなと、思った。



この日、買ったのはチープカシオだった。

Gショックのスピードモデルと並べると、
チープさが際立つし、それを隠さないが、

だからこそ、良い。